岡山県における主要水稲品種の食味と理化学的特性
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概要
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岡山県における米の食味に関する基礎的知見を得ることを目的として、岡山県の主要水稲品種、コシヒカリ・ヒノヒカリ・朝日・アケボノと日本晴を供試し、岡山・八浜・倉敷の各水田において、異なる施肥段階を設定して栽培を行い、米飯の食味と理化学的特性を調査した。その結果、5品種間ではヒノヒカリが食味官能評価の全項目において最も優れた。朝日は総合評価・粘りでコシヒカリと同等の値を示し、味はコシヒカリよりも優れ、硬さはアケボノよりも硬いことが認められた。3試験地間では長期間無施肥栽培を行っている倉敷水田の食味が優れ、これには土壌窒素含有率が低く、玄米に蓄積されるタンパク質量が少ないことが関係すると考えられた。施肥レベル間では、施肥量の増加に伴い、いずれの品種においても食味値が低下する傾向が認められた。全品種込みで食味の総合評価と精米のタンパク質含有率との間には密接な正の相関関係が認められたが、アミロース含有率との間には直接的な関係は認められなかった。またアミログラム特性の最高粘度とブレークダウンにおいても直線関係は認められなかった。テクスチャー特性においては、H/-HとH/A3と総合評価との間に密接な負の相関関係が認められた。このことから、岡山県において、良食味米生産を行うためには、精米の窒素含有率に着目して、収益性を考慮しつつ、食味低下の小さい栽培指針を、それぞれの地域の土壌条件に対応して示すことが必要であると考えられた。
- 岡山大學農學部の論文
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