中国における国際技術移転の新たな展開 : 1990年代以降の動向と政策変化(<特集>中国経済の変革)
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概要
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本稿は,1990年代以降の中国における国際技術移転の展開を実態,政策両面から捉え,その変化を明らかにし,今後の方向をさぐる手がかりを得ようとするものである.「I 1990年代の実態動向」では,1990年代の概況として統計的把握を基礎に,従来指摘されてきた中国の技術移転の特徴について検討を行う.技術ライセンスがプラント導入を上まわる勢いで増加しつつあり,企業内技術移転の割合も高まっていることが明らかとなった.「II 技術移転政策の変化〜新条例の影響〜」では,政策面での変化,特に技術移転管理条例についての検討を行い,実態面への影響を探る.2002年1月に新たに「技術輸出入管理条例」が施行され,技術輸出入は従来の認可制から登録制へと原則自由化された.各種規制も緩和されているが,国際的に問題視されてきた保証条項はほぼそのまま残されている.「III 技術商談会の試み」では,従来とは異なるチャンネルとして試みられてきた国際技術商談会について,日中テクノマートを事例に取り上げ,その意義を検討する.1996〜2000年にわたり行われたこの試みは,技術移転の新たなチャンネルを開拓するものとして高く評価されるものの, 一方では成約に結びつきにくいなど技術移転の困難さを明らかにするものであったともいえる.1990年代以降の中国における国際技術移転には幾つかの新たな特徴がみられる. こうした諸点は, 従来の見方に一定の修正を求めるものであり,中国における国際技術移転の状況が新たな段階に入りつつあることを示しているといえよう.
- 2003-03-30