ドレッヂにより得られた大島海峡(奄美大島)の甲殼綱異尾類
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概要
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国立科学博物館の「日本列島の自然史科学的総合研究」の一環として, 1988年8月, 大島海峡(奄美大島)の27地点においてドレッヂによる底生生物調査が行なわれた。甲殻綱異尾類は16地点から得られたが, 種数は予想外に少なく, 3科14種であった。うち, ガラテア科の2種 (Galathea amamiensis, G.platycheles) は奄美大島を含む琉球列島のサンゴ礁に普通の種であり, ホンヤドカリ科のPaguritta harmsi はすでに大島海峡から知られている種である。Galathea subsquamata は STIMPSON (1858) が奄美大島から報告して以来, 西太平洋に広く知られながら, 基産地からの標本の記録がなかったものである。そのタイプ標本はシカゴ大火により焼失している。他の7種 (ガラテア科の Galathea orientalis, G.ternatensis, Lauriea gardineri, Munida elegantissima, M.japonica, M.rufiantennulata, カニダマシ科の Aliaporcellana suluensis) は九州付近にも記録のある種であるが, 奄美大島からは初めての記録となる。最近フィリピンから記載されたガラテア科の Galathea albatrossae と, 分布の北限が台湾海峡付近に置かれていたカニダマシ科の Polyonyx biunguiculatus および Lissoporcellana quadrilobata が大島海峡で採集され, 分布が更新された。多くのインド・マレーの南方系要素の生息が予想される中にあって, 大島海峡のフォーナの乏しさは予想外の調査結果であった。おそらく, 単調な底質に起因するものであろう。
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