後天性聴原性発作ラットにおける聴性脳幹反応と聴覚路Fos蛋白発現
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概要
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ラットを14と28日の2回, 122-125dBの強音をそれぞれ8と4分刺激して後天性聴原性発作モデルを作成した。このモデルの聴性脳幹反応(ABR), 中枢性聴覚路のFos蛋白免疫反応および病理組織像を検討した。ABRを同時に測定した3例中1例を除いた全例に, "wild-running"(WR)が2回目の音刺激後にみられた。全例の生後28日目のABRでは, 閾値の上昇(50dB), 1波に対するIIおよびIH波の振幅比の減少, I-IV波間潜時の延長などを認めた。c-fosはWRを示した例のみに発現していたが, 中枢性聴覚路の外側毛帯, 下丘, 内側膝状体, 側頭皮質の多数の神経細胞に, さらに黒質, 脳幹網様体の神経細胞にもわずかに認めていた。一般染色から見た病理像は, Fos蛋白発現神経細胞体に隣接した部位の神経細胞に淡明化がみられた。発育途上の特定時期に与えた音刺激が, 聴覚路の神経細胞に何らかの機能障害を惹起し, 一定期間後の再刺激により, 関連する大脳皮質の神経細胞に興奮を誘発させた結果聴原発作が出現することが推察された。
- 日本てんかん学会の論文
- 1994-10-31
著者
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