競り上げオークションにおける情報顕示の促進
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概要
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オークションは複数の利己的エージェントが存在するもとで, 資源の割当てを決定する方法の一つである.インターネットオークションサイトにおいては, 入札終了時刻設定のある競り上げオークションプロトコルが広範に利用されている.この競り上げオークションでは, 入札終了時刻直前に入札が集中するという現象が観測されている.これはサーバの過負荷やネットワークの輻輳の問題に加えて, 情報顕示の失敗の問題を引き起こす.情報顕示とは, 他者の入札行動を通して, 財に関する情報が買手の間に伝わることを指す.競り上げオークションは競り値が上がるたびにその値が公開される公開型オークションであるにもかかわらず, 終了時刻直前まで入札がほとんど行われなければ, 買手は財に関する付加的な情報をオークション中に得ることができない.これは買手に消極的な入札行動をもたらし, その結果として, 財の効率的な割当てに失敗することになる.この問題を解決するため, 我々は新たなオークションプロトコルを提案する.提案プロトコルは早期の高額の入札に誘因を与える.具体的には, 自動入札エージェントの最高入札値を早期に高額の値に設定することに代価を支払う.これにより, 終了時刻直前の入札集中が回避され, サーバの過負荷やネットワークの輻輳と情報顕示の失敗の問題が緩和される.提案プロトコルの別の利点は, それが現行の競り上げオークションの拡張であるため, その導入が容易であるという点である.本稿では, ゲーム理論を用いて提案プロトコルの性質を理論的に解析し, その結果を用いて, 計算機シミュレーションによって提案プロトコルの性能を評価した.得られた結果は, 提案方法が社会的に望ましい財の割当てを得ることができ, また, 売手の収入を増加させ得ることを示している.
- 2001-11-01
著者
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