若年時のBMI増加はメタボリックシンドローム発症と関連する
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概要
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目的:メタボリックシンドローム(以下MetS)発症の予防・解消を目的とした特定健康診査・特定保健指導は40歳以上が対象とされているが,本研究は若年時のBMI増加と40歳代でのMetS発症との関連を検討することを目的とした.方法:30歳時点でMetS該当ではなかった男性877名を対象とした.対象を30歳時のBody Mass Index(以下BMI)により非肥満群(BMI<22),肥満予備群(22≤BMI<25)および肥満群(25≤BMI)に分類し,それぞれの群におけるBMIおよびMetS関連因子(収縮期血圧,拡張期血圧,空腹時血糖,HDLコレステロール,中性脂肪値)の30歳から35歳までの変化と40歳以降におけるMetS発症リスクとの関係についてCox比例ハザードモデルを用いて検討した.さらにBMI増加量別の非肥満群および肥満予備群におけるMetS発症リスクについても併せて検討した.結果:30歳から35歳までのBMIの増加は非肥満群(ハザード比2.80,95%信頼区間1.61–4.88),肥満予備群(ハザード比2.00,95%信頼区間1.44–2.77)ともに40歳以降でのMetS発症と有意に関連していた.また,非肥満群ではBMIが5年間で2以上増加した増加群(ハザード比9.39,95%信頼区間1.52–57.70)が,肥満予備群では増加群(ハザード比10.13,95%信頼区間4.30–23.80)に加えBMIの変化が5年間で1以上2未満増加した微増群(ハザード比2.30,95%信頼区間1.03–5.11)においてもMetS発症リスクと有意に関連していた.結語:若年時のBMI増加は将来のMetS発症リスクとなり,特に30歳時点のBMIが低い状態であっても,その後の上昇の程度で将来のMetS発症率に違いが生じることが示された.このことから職域のMetS発症抑制対策においては若年者の体重安定化に向けた取り組みも必要であると考えられた.
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公益社団法人 日本産業衛生学会 | 論文
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