嚥下内視鏡検査スコア評価による急性期入院患者の経口摂取状況の予測
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概要
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急性期病院では嚥下障害があっても入院の契機となった病状が安定すると速やかに退院あるいは転院となり, 入院中に転退院後の経口摂取可否の判断をすることは困難である. 急性期病院から転退院後の経口摂取状況を追跡調査し, 転退院後の経口摂取状況を予測する上で有用な因子を後方視的に検討した. 対象は2011年10月から2012年12月までに急性期病院である当院に入院し, 嚥下機能評価を行った45例である. 転退院後の経口摂取状況を経口摂取自立群, 制限群, 不可群の3群に分類した. 制限群と不可群を併せた群を非自立群とし, 自立群との間で, 年齢・性別・兵頭らが報告した嚥下内視鏡検査スコア評価基準によるスコアの合計点 (以下, VE スコア)・日常生活動作 (以下, ADL) の指標としての Functional Independence Measure (以下, 運動FIM・認知FIM) との関係を検討した. 単変量解析では, 年齢, VE スコア, 運動 FIM, 認知 FIM で有意な差が認められ, VE スコアは多変量解析でも有意な差が認められた. VE スコアにおいて自立群と非自立群の間で4点を cut off 値とした場合, 特異度は0.944, 陽性的中度は0.923となった. 一方, 不可群と, 自立群と制限群を併せた群の間で9点を cut off 値とした場合, 特異度は0.969, 陽性的中度は0.857となった. 以上より VE スコアは経口摂取の可否と相関する独立した因子であり, 急性期病院から転退院後の経口摂取状況の予測に有用であることが示唆された. また, 年齢・ADL も嚥下状況の予測に有用な因子であることが示唆された.
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