固定化酵素を用いたホルムアルデヒド除去用バイオフィルタの開発
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概要
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ホルムアルデヒドの分解除去を目的に,ホルムアルデヒドを酸化するアルコール酸化酵素(AOX)を平均細孔径10–100 nmのシリカゲル(SG)に固定化して固定化酵素(AOX-SG)を開発した.AOXは土壌から新規に取得したホルムアルデヒド分解微生物Paecillomyces variotii IRI017株から抽出した.また,シリカゲルには,未処理のシリカゲル(SG)と3-アミノプロピルエトキシシランをカップリング処理したシリカゲル(aminoSG)を用いた.酵素固定化シリカゲル(AOX-SG, AOX-aminoSG)に,0.4–0.5 ppmのホルムアルデヒドガスを連続的に通気しホルムアルデヒド分解除去性能を調べた.酵素を固定化していないシリカゲルは,カップリング処理の有無に依らず,20 d以内で飽和吸着を示し,全くホルムアルデヒドを除去できなくなった.一方で酵素固定化シリカゲル(AOX-aminoSG)は,90 d以上飽和吸着に達することなくホルムアルデヒドを90%以上除去し続けた.これにより,開発したAOX-aminoSGはガス中のホルムアルデヒドをSGに吸着し,酵素で分解していることが示唆された.さらに室内使用を目指し,ペーパーハニカムコアにシリカゲル(AOX-SG, AOX-aminoSG)を挿入し,不織布でサンドしたフィルタを試作した.1 m3のチャンバー内で3 h空気清浄機の試験を行ったところ,AOX-aminoSGの試作フィルタは1–3 L/minの風量で,市販の活性炭フィルタと同程度のホルムアルデヒド除去率を示した.
- The Society of Chemical Engineers, Japanの論文
著者
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伊藤 睦弘
富士シリシア化学
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森川 豊
あいち産業科学技術総合センター 産業技術センター
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近藤 徹弥
あいち産業科学技術総合センター 食品工業技術センター
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林 直宏
あいち産業科学技術総合センター 産業技術センター
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高井 健次
三喜ゴム株式会社
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