当院における過去12年間のAspergillus属分離状況
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概要
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Aspergillus属は深在性真菌症の原因菌として重要である.今回我々は,2000年から2011年までに当院で分離されたAspergillus属344株(320症例)について,分離菌種と分離数の経年変化,患者背景,塗抹,血清学的検査との関連を検討した.分離菌種はA. nigerが126株(36.6%)と最も多く,次いでA. fumigatusが113株(32.8%),A. terreusが53株(15.4%),A. flavusが22株(6.4%),その他のAspergillus属(分類不能を含む)が30株(8.7%)であった.検体種別にみると,呼吸器検体ではA. fumigatusが46.0%,耳鼻科検体ではA. nigerが48.3%を占めていた.特に呼吸器検体からのA. fumigatus,A. nigerの分離が近年増加傾向にあった.呼吸器検体からAspergillus属が分離された患者の多くは呼吸器系の基礎疾患を有していた.臨床検体からAspergillus属が分離された場合には患者背景の他,臨床症状や画像所見,血清学的検査を踏まえて原因菌か否かの鑑別を行う必要がある.また,菌種による薬剤感受性の違いや耐性菌の出現なども報告されており,今後もAspergillus属の検出動向を注視していくことが重要である.
- 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会の論文
著者
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永井 久美子
長岡赤十字病院
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星 周一郎
長岡赤十字病院
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高野 美菜
長岡赤十字病院
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石平 悠
長岡赤十字病院
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高野 美菜
長岡赤十字病院医療技術部検査技術課
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田村 優子
長岡赤十字病院医療技術部検査技術課
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酒井 俊希
長岡赤十字病院医療技術部検査技術課
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