下大静脈閉塞を伴わない下大静脈嚢状瘤の3次元エコーによる仮想血管内視鏡所見
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概要
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症例は20年来の反復するめまい発作で近医にて内服治療を受けている70歳,女性.持続するめまいと嘔吐を主訴に当院救急外来を独歩で受診した.身体所見は特に異常なく耳鳴りや眼振は認めず,頭部MRI検査でも急性の脳血管障害は指摘されなかったが,めまい症状が強いため観察入院となった.めまいは炭酸水素ナトリウム点滴などで改善し,嘔吐も自然に軽快したが,原因検索目的に施行した腹部超音波検査で,下大静脈(inferior vena cava: IVC)と血流の交通がある長径45 mm,短径25 mmの静脈瘤を認めた.造影CT所見ではIVCの閉塞は伴わない肝後面/腎静脈頭側の嚢状瘤であり,内部に血栓を認めず,肺動脈血栓塞栓症も認めなかった.IVC造影では瘤内造影剤のwash out遅延を認め,内部に一部隔壁を伴っていた.3次元エコーにて仮想血管内視鏡画像を作成し,IVC内および瘤内の視点で立体的に連続性を確認した.3次元エコーは2次元で得られた画質に依存することに留意し,血管壁の質感や細部の構造が実際に則しているか他の画像診断と比較検討する必要はあるが,血管内異常構造物の直観的な把握に有用な手法であると思われた.血栓塞栓症の既往がないため,抗血小板薬内服で経過観察の方針とした.
- 一般社団法人 日本超音波医学会の論文