多彩な画像所見が腫瘍進展形式を示唆した置換性増殖優位型浸潤性肺腺癌の1例
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概要
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背景.置換性増殖優位型浸潤性腺癌は,以前は粘液非産生性細気管支肺胞上皮癌と呼ばれており,多彩な画像所見を呈する.症例.70歳の男性.7か月間の湿性咳嗽と1か月前からの労作時呼吸困難感を認めて受診した.胸部CTで広範囲に気管支透亮像を伴う浸潤影とメロンの皮様網目状陰影を認め,一部分に小葉中心性のすりガラス陰影を認めた.以上より経気道散布する病変が進行している状態が考えられ,経気管支肺生検の結果,置換性増殖優位型浸潤性腺癌,cT4N3M1a,IV期と診断した.気管支漏,低酸素血症を認めたが,エクソン21の点突然変異(L858R)を確認した後にゲフィチニブを投与したところ,症状は迅速に改善し酸素療法を離脱できた.一旦は改善したが,原病の悪化があり2次,3次治療を行ったが治療開始後26か月で死亡した.結論.胸部CT読影や病理学的検索の際,小葉単位における病変分布の推定を行うためには,病変の程度が軽い部分で行うことが重要である.また,気管支漏を呈する肺腺癌に対する上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤の有用性は,抗腫瘍効果に加え,同薬剤による直接的な粘液産生抑制が関与している可能性が考えられた.
- 特定非営利活動法人 日本肺癌学会の論文
著者
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近藤 哲理
湘南藤沢徳洲会病院呼吸器内科
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大江 元樹
湘南藤沢徳洲会病院呼吸器内科
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日比野 真
湘南藤沢徳洲会病院呼吸器内科
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平島 修
瀬戸内徳洲会病院総合内科
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山本 紗織
湘南藤沢徳洲会病院呼吸器内科
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伊東 直哉
瀬戸内徳洲会病院総合内科
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