家庭・学校・地域連携による児童生徒の生活習慣病予防活動の試み
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概要
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目的 平成12年度に家庭・学校・地域連携による児童生徒の血液検査と日常生活習慣質問紙調査を実施し,健康実態を踏まえた個別健康教育や結果説明会等の生活習慣病予防活動を行った。その結果,これらの活動を通じて保護者(家庭)の行動変容や養護教諭(学校)と保健師(地域)の役割変化がみられた。今回の取り組みについて,児童生徒の生活習慣病予防の視点から整理した。<br/>方法 平成13年度に前年度の血液検査等に参加した長野県 M 町の小学校第 5 学年157人と中学校第 2 学年138人合計295人の児童生徒の保護者に対して質問紙調査を行い,保護者の行動変容を聴取した。回答者は269人(回収率91.2%)であった。また,養護教諭・保健師・大学教員による連絡会議において今回の取り組みの実施前後での養護教諭と保健師の役割変化を検討した。さらにこれらの検討結果を踏まえて,連絡会議の議事録や事業報告書を参照して,活動のプロセスを MIDORI モデルに基づいて整理した。<br/>結果 保護者の行動変容については,子どもに対して気をつけるようになった事がある者は61.3%で,保護者自身が気をつけるようになった事がある者は41.6%であり,それぞれの内訳では食事に関する事が 8~9 割を占めていた。養護教諭の役割は,一般的な健康教育を行うだけでなく,血液検査の結果等の健康実態に基づいた各個人のヘルスプロモーションの支援者へと変化し,さらに学校内の教職員の有機的な実践活動のためのコーディネーターとして機能するようになった。保健師も学校の依頼を受けて健康教育を行う役割から家族全体の生活習慣の改善を支援する役割へと変化した。また,今回の活動を MIDORI モデルに基づいてプロセスごとに整理することにより,子どもの血液検査等を通じて健康実態が明らかになり,児童生徒の生活習慣病予防活動の必要性および地域全体で支援する活動展開の重要性について家庭・学校・地域の共通理解が広がる過程を明らかにすることができた。<br/>結論 家庭・学校・地域連携による血液検査および日常生活習慣質問紙調査の結果の健康実態に基づいた児童生徒の生活習慣病予防活動を実施することにより,保護者,養護教諭,保健師の問題意識が高まり,行動変容に結びつく生活習慣病予防活動につながることが示唆された。
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