幼児における日常食からの亜鉛摂取量と食品群別摂取状況およびそれらの身体発育への影響
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概要
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目的 幼児における日常食からの亜鉛摂取量と食品群別摂取状況を調査し,身体発育状況への影響と亜鉛摂取量を適正に保つために食生活上考慮すべき点を明らかにすることを目的とした。<br/>方法 5~6 歳の30人の幼児(男子15人,女子15人)を対象とし,春・秋期に各連続 3 日間(計 6 日間)の食物摂取量の秤量調査と身長・体重の測定を行った。栄養素等摂取量は五訂日本食品標準成分表を用いて算出した。対象児の 1 日当たり亜鉛摂取量の 3 分位値によって低・中・高亜鉛摂取群に分類し,3 群間で身体発育状況と食事要因の比較検討を行った。<br/>結果 全対象児の平均亜鉛摂取量は6.4±1.1 mg で所要量(6.0 mg)を充足していた。亜鉛摂取量により低亜鉛摂取群が5.4±0.5 mg,中亜鉛摂取群が6.2±0.3 mg,高亜鉛摂取群が7.7±0.6 mg に分類された。身長・体重は亜鉛摂取量が少ない群で低値となる傾向にあったが,春から秋の 5 か月間に全対象児において増加しており,低亜鉛摂取群の身長の伸びが最も大きかった。<br/> 食品群別亜鉛摂取寄与率は,米類(20.53%)が最も高く,肉類(16.28%),乳類(15.57%),卵類(7.45%)および豆類(6.87%)が続き,これら 5 食品群で亜鉛摂取量の66.7%を占め,植物性食品(55%)が動物性食品(45%)を上回った。<br/> 低亜鉛摂取群ほど 1 日当たりのエネルギー摂取量,栄養素等摂取量,および食品群別摂取量が他の群より少なかった。しかし,菓子類からのエネルギー摂取量が 3 群中で最も多かった。<br/>結語 秤量法による幼児の亜鉛摂取量調査では,低亜鉛摂取群であっても身体発育への負の影響が認められず,米類は主要な亜鉛供給源であることが示された。また,菓子類の多食によって食事量が減少した場合に,亜鉛のみならず,他の栄養素等の適正摂取を妨げる可能性が示唆された。
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