介護保険サービス決定における要介護者と家族の主体性に関連する要因の検討 利用者の基本属性による違い
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概要
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目的 介護保険サービス利用者のサービス決定における主体性とその関連要因を明らかにし,サービス提供者へのサポートのあり方に示唆を得ることを目的とした。<br/>方法 大阪府東大阪市にて介護保険サービスの利用経験がある1,760件のサービス利用者(要介護者と家族)に無記名自記式質問紙を郵送した。調査期間は2001年10月で1,178件(66.9%)回収した。従来日本では,要介護者と家族を同一視して論じられることが多かったが,本研究ではサービス利用の現状を考慮し,要介護者と家族を別々に捉えサービス決定における主体とした。分析対象は要介護者による回答146件と家族による回答577件とし別々のモデルを作成した。調査項目は基本属性,サービス利用期間,情報収集,理解度,要望伝達度,サービス提供者の態度,家族の関係(家族内での支え合い・対話の有無),サービス決定における主体性である。分析は主体性を従属変数とした重回帰分析を用い各要因の単独効果を明らかにしたあと,利用者の属性と各要因との交互作用効果を検討した。<br/>成績 1)サービス決定における主体性の得点は要介護者では3.1±0.8(範囲 1-4)点で,家族の2.8±0.8点より高かった。2)主体性は,単独効果では,要介護者において情報収集と理解度の 2 つ,家族において情報収集,理解度,要望伝達度,サービス利用期間,家族内の対話の 5 つに認められた。3)交互作用効果では,要介護者において「理解度×年齢」「サービス提供者の態度×年齢」「サービス提供者の態度×性」「要望伝達度×性」,家族において「サービス提供者の態度×家族年齢」「認知機能障害×サービス利用期間」が,主体性に対し有意であった。<br/>結論 主体性の得点は家族が要介護者より低く,関連要因は要介護者と家族では異なっており,サービス利用者の属性により主体性を高めるサポートのあり方が異なることが明らかになった。利用者の属性を考慮したサポートが,利用者の主体性を向上させるために必要であることが示唆された。
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