予防訪問アセスメント表の開発
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概要
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目的 在宅高齢者のアセスメントとケアプランの手法である Minimum Data Set-Home Care (MDS-HC)の予防版を開発すること。<br/>方法 ADL に障害はないが IADL に障害のある278人の在宅高齢者に対して,保健師が 3 か月に一度自宅を訪問し,オリジナルの MDS-HC を用いてアセスメントを実施した。3 回目の訪問におけるアセスメント表および訪問記録表(n=217)と,訪問 3 回目から 5 回目まで追跡可能であったアセスメント表(n=163)を分析の対象とした。オリジナルのアセスメント項目(247項目)から,アセスメント表の分析により問題状況の発生頻度およびその変化を示した者がいずれも10%以上あったアセスメント項目,および訪問記録表の分析により保健師が判断したニーズを選定するのに必要なアセスメント項目をそれぞれ選択し,予防版 MDS-HC アセスメント表を作成した。同アセスメント表の妥当性について,保健師が判断したニーズに対する敏感度と特異度を検証した。<br/>結果 オリジナルのアセスメント項目のうち,問題状況の発生および変化のみられた対象者の割合がともに10%以上であったのは53項目,およびこれらの項目に含まれなかったが保健師の判断したニーズを把握するために必要な36項目を加えると,予防版 MDS-HC アセスメント表の項目は89項目となり,オリジナル版の247項目の35.7%を構成した。予防版 MDS-HC における保健師の判断したニーズに対する敏感度は,オリジナル版の MDS-HC アセスメント表と比較して同等であるか向上した。<br/>結論 本研究で開発された予防版 MDS-HC は,オリジナル版と比較して項目数が 1/3 に減少して簡便となり,対象者のニーズを感度よく抽出することが可能であった。予防版 MDS-HC を用いることにより,体系的な予防訪問の実現を期待できる。
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