地域中高年者の社会参加の現状とその関連要因 —埼玉県鳩山町の調査から—
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的 中・高年者の社会参加の各指標に影響を与える要因に焦点を当てて分析する。<br/>方法 調査対象者は,埼玉県鳩山町に居住している55歳以上79歳の中高年者である。調査期間は,2002年 3 月20日から 4 月 2 日までである。調査の方法は,平成14年 1 月 1 日現在55歳から79歳の住民の選挙人名簿リストから層化無作為抽出法により選択された1,568人を対象に郵送式自己式質問紙調査を行った。得られた回答票の中から家庭内と隣近所または遠距離へ不自由なく活動できる者のみを対象とし,964票(61.5%)が分析の対象となった。<br/>結果 社会参加のドメインは,仕事,社会・奉仕活動,個人活動,学習活動から構成されている。性と年齢は,社会参加の 4 つのドメインを規定する要因であり,配偶者の有無は個人活動と学習活動に有意であった。学歴と暮らし向きは,個人活動に影響を与えていたが,学歴は仕事に,暮らし向きは社会・奉仕活動を強く規定する要因であった。ニュータウン居住者は,仕事,社会・奉仕活動と学習活動に負の関連を示していた。地域共生の認知と社会参加の継続の意思は社会・奉仕活動を規定していたが,社会参加の継続の意思のみ学習活動を規定していた。公的支援の認知は学習活動のみを規定していた。<br/>結論 埼玉県鳩山町における中・高年者の社会参加には,地域に対する共生の意識と社会参加を継続的に行うための動機付与などの方策が重要であることが示唆された。また,地域における社会参加を促進するに当って,地域住民個々人の社会参加に対する認知と公的機関の関与がどのように整合していくかが重要な課題であることが示唆されたといえよう。
- 日本公衆衛生学会の論文
日本公衆衛生学会 | 論文
- 心理的健康の維持・増進のための望ましい生活習慣についての疫学研究
- 脳卒中予防対策地域における脳卒中発生状況と重症度の推移に関する疫学的研究
- 健康づくりのための運動指針2006の認知状況と他の健康づくり施策の認知および人口統計学的変数との関連
- 在宅生活をしている統合失調症患者のWHOQOL-26尺度に影響を与える要因の検討
- 肥満児の体力と保健指導プログラムにおける運動療法の効果