全国の都道府県保健所・市町村における健康危機管理機能への対応状況とその関連要因
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概要
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目的 都道府県保健所と市町村の健康危機管理機能への対応状況とその関連要因を明らかにし,地域全体の健康危機管理体制のあり方,特に保健所の市町村への支援のあり方を検討する。<br/>方法 指定都市,中核市,政令市,特別区を除く,全国の都道府県460保健所と3,173市町村を対象に,郵送により調査票を配布し,健康危機管理機能への対応状況と実地訓練の主催の有無,人口,管内での過去の健康危機発生の有無,健康危機発生の可能性のある施設・自然環境の有無についてアンケート調査を実施した。<br/>結果 調査票の回収率は,保健所が72.8%,市町村が61.7%であった。被害状況に応じた24時間勤務体制は 6 割の保健所で整っていた。しかし,避難した住民への対人保健活動体制,避難所における衛生活動体制,住民への情報提供体制が整っているのは,保健所・市町村ともに 5 割以下であった。また実地訓練を主催した割合は,保健所・市町村ともに 2 割以下であった。市町村では,人口と対人保健活動体制・衛生活動体制との間で,保健所では,人口と対人保健活動体制の間でわずかではあるが正の相関がみられた。過去に健康危機の発生を経験した市町村や健康危機発生の可能性のある施設・自然環境をもつ市町村の方が,危機管理機能への対応が進められている傾向を示した。しかし,保健所では過去の健康危機発生や施設・自然環境の有無による対応状況の差はみられなかった。<br/>結論 本研究では全国の保健所・市町村の健康危機管理機能への対応状況についてその傾向を把握することができた。今後,健康危機管理機能を推進するために継続的な調査の実施が必要である。<br/> 保健所・市町村の健康危機管理機能への対応状況は十分であるとは言えず,保健所は市町村の対応推進のために支援を行う必要がある。特に過去に健康危機発生のない市町村や危機発生の可能性のある施設や自然災害経験の少ない市町村のような,安全であると認識していると考えられている市町村を重点的に支援することが,地域全体の健康危機管理機能の向上に結びつくと考えられる。
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