結核発生動向調査より見た非定型抗酸菌陽性例の肺結核の疫学研究
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概要
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目的 高知県東部,中央部,および西部の 5 保健所において,地域住民を母集団と想定する非定型抗酸菌陽性の肺結核登録症例の記述的疫学研究を行う。<br/>方法 研究対象は1990~2001年の12年間に高知県の 5 保健所に届出された非定型抗酸菌陽性の肺結核登録症例とした。研究対象は 5 保健所の結核発生動向調査保健所システムのマスター・ファイルより抽出した。その数は151人であった。それらをマスター・ファイルに入力されている疫学的特性によって解析した。<br/>成績 (1)患者の届出時の平均年齢は68.00±11.59歳,男女比は1.60であった。(2)非定型抗酸菌陽性例の肺結核登録患者に占める構成割合は,上記 3 地域間で統計学的な差はみられなかった。1996~2001年のこの構成割合は13.6パーセントであった。(3)住民検診で発見されたこれら症例の肺病巣は,医療機関で診断された患者に比べその広がりが小さかった。(4)治療期間は 3 地域間で統計学的な差がみられ,県中央部のそれが最短であった。登録期間も治療期間と同様な傾向がみられた。<br/>結論 (1)今後,人口の高齢化に伴い,老人保健施設等の高齢者入所施設で非定型抗酸菌陽性の肺結核または非定型抗酸菌症の増加がみられるだろう。(2)これら疾患および結核の早期発見・早期治療のため,高齢者入所施設での胸部 X 線検診の定期的な実施が望ましい。(3)治療効果を上げるため,非定型抗酸菌陽性の肺結核に対する治療は,結核予防法の適用方法も含め広い視野から今後検討することが望ましい。
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