精神保健福祉法改正に伴う市町村における精神保健福祉業務の委譲の状況
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概要
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目的 平成14年 4 月から精神保健福祉法改正により,保健所から精神保健福祉業務の一部が市町村へ委譲された。平成13年10月時点での市町村の業務委譲の現状を調査し,保健所の市町村への支援のあり方の資料とした。<br/>方法 全国3229市町村の内,指定都市,政令市,中核市,東京都特別区を除いた3155市町村から人口10万人未満の500市町村を人口区分より抽出し,精神保健福祉業務の委譲に関するアンケート調査票を送付,回収した。<br/>成績 359市町村から回答を得た(回収率71.8%)。市町村が予算を伴った精神保健福祉業務を実施している頻度は58.5%となった。担当者は保健師と事務職員が多く精神保健の専門職は少なかった。業務委譲の進行状況は64.0%の市町村が担当部門を決めていたが,担当者数まで決めていたのは16.4%であった。社会復帰施設への支援は66.9%の市町村が行っていた。法で平成14年度からの実施の居宅支援サービスに24.2%の市町村がすでに関わりを持っていた。ケアマネジメント従事者研修には59.6%で受講者があり,精神障害者保健福祉手帳交付および通院公費負担事務に専門職を確保しているのが16.2%,プライバシー保護のためのスペース確保が24.2%の市町村であった。業務委譲への住民の反響は22.3%の市町村が反響ありとした。業務委譲の問題として98.6%の市町村が専門職の不足,相談体制等をあげた。保健所への要望については専門的情報の提供,関係機関との連携調整が多かった。<br/>結論 精神保健福祉業務の市町村での実施率は半数を越えているが,担当者に専門家は少数であった。また法に先んじて行われた居宅サービス支援のように市町村が必要に迫られ業務を実施した場合も示唆された。問題に専門職の不足,要望に専門的情報の提供があげられているように,保健所の精神保健に関する専門性を生かした支援が効果的と考える。
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日本公衆衛生学会 | 論文
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