行政保健師の施策化能力評価尺度の開発
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概要
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目的 複雑化,多様化する地域社会の健康課題を解決するため,行政保健師 1 人 1 人の施策化能力の向上が急務である。しかし,現状では,行政保健師の施策化能力の統一された定義はなく,能力の評価を行うことは困難である。そこで,本研究では,行政保健師における施策化能力評価尺度を開発し,信頼性と妥当性を検証することを目的とした。<br/>方法 まず,先行文献のレビューならびに A 市の施策化経験が豊富な保健師 5 人への個別インビュー調査により「行政保健師の施策化能力評価尺度」(案)を作成した。次いで,同市の常勤保健師全数(約460人)を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施し,「行政保健師の施策化能力評価尺度」(案)の重要度と自己評価等を基に信頼性と妥当性を検証した。<br/>結果 2 因子16項目からなる「行政保健師の施策化能力評価尺度(第 1 因子;コミュニティパートナーシップ,第 2 因子:地域診断サイクル)」が開発され,確証的因子分析では,一部修正したモデルで GFI=.889, CFI=.956, RMSEA=.068と良好な適合値が得られた。また,尺度全体の Cronbach α 係数は0.93であり,十分な内的整合性をもつと判断された。また,尺度全体と既存尺度「事業・社会資源の創出に関する保健師のコンピテンシー評価尺度」における Pearson の相関係数は,尺度全体 r=0.52(P<0.01)で有意な正の相関がみられた。<br/>結論 行政保健師の施策化評価尺度を開発し,信頼性・妥当性が検証された。
- 日本公衆衛生学会の論文