左前胸部小切開にてオフポンプ3 枝MICS CABG を施行した1 治験例
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概要
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今回,左前胸部第4 肋間小開胸によりMICS CABG(minimally invasive cardiac surgery coronary artery bypass grafting)を行い良好な結果を得たので文献的考察を含めて報告する.症例は68 歳女性.登坂時に胸痛を自覚し近医受診.冠動脈造影検査にて左主幹部50%病変を含む3 枝病変と診断され手術となった.左主幹部の病変は50%の狭窄であり血流が多いことが考えられたので,回旋枝には大伏在静脈を用いる方針とした.その結果よりインフォームドコンセントを行い左小開胸によるMICS CABG を施行した.手術は左第4 肋間開胸によるアプローチで施行.左内胸動脈を採取と同時に下肢から小切開にて大伏在静脈も採取した.開胸部から上行大動脈を部分遮断下し,2 本の大伏在静脈を上行大動脈にそれぞれ吻合した.その後スタビライザーとハートポジショナーを用いて左前下行枝にLITA を,回旋枝,右後下行枝にSVG を吻合した.手術は人工心肺を用いず無輸血にて終了した.術後経過は良好であり冠動脈CT 検査にて全てのグラフトの開存を確認し,術後第12 病日に退院となった.本法は人工心肺を用いず,かつ胸骨正中切開を行わない術式であり,冠動脈バイパス術の新たなオプションとして極めて有用であると考えられた.
- The Japanese Coronary Associationの論文
著者
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鈴木 耕太郎
公仁会大和成和病院心臓血管外科
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小坂 眞一
公仁会大和成和病院心臓血管外科
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菊地 慶太
公仁会大和成和病院心臓血管外科
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遠藤 由樹
公仁会大和成和病院心臓血管外科
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倉田 篤
公仁会大和成和病院心臓血管外科