アトピー性皮膚炎患者の頚部にみられたポイキロデルマ様皮膚変化について―臨床および組織学的検討―
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概要
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長期間,慢性に経過したアトピー性皮膚炎患者の頚部に,しばしば特異な色素沈着がみとめられる.かかる色素沈着は,15歳以上の患者110例中39例にみられ,うち10症例についてその臨床および病理組織像を検討した.臨床的に本変化は,種々の湿疹様病変に引き続き,Langer割線方向に沿って正常色の線条隆起性局面として出現し,漸次拡大して皺状となる.その後,多くは線条間に一致して黒褐色調の色素沈着が出現,遂には皮膚萎縮,毛細血管拡張や脱色素斑などのポイキロデルマ様皮膚を呈する.組織的には,真皮上層に多量のメラニン滴落,毛細管の著しい増生・蛇行,リンパ管拡張,弾力線維の断裂・消失,ムチン沈着などがみられる.以上の所見より,本変化をポイキロデルマ様皮膚変化と命名し,アトピー性皮膚炎に伴う炎症後の色素沈着とその修復過程により生ずると考えた.さらに修飾増悪因子として,長期間のステロイド外用剤や慢性の機械的刺激などの関与が考えられた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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