腫瘍間質におけるヒアリン物質の形態学的,生化学的研究
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概要
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1.ヌードマウス皮下に形成させた人外毛根鞘腫の間質に多量のヒアリン物質が認められた.2.電顕所見よりヒアリン物質の大部分は変化した膠原線維と無構造物質より成り,その膠原線維の横紋は一般の染色法では染色され難かった.3.ヒアリン物質が多量に含まれている外毛根鞘腫塊を酢酸可溶画分,ペプシン可溶画分,ペプシン不溶画分の3画分に分けて,各々アミノ酸分析,糖分析したところペプシン不溶画分とコントロール(ヌードマウス皮膚)との間に大きな差異が認められた.4.すなわちこのペプシン不溶画分は糖分析にて多量の糖を含んでいることが分かった.これをアミラーゼ処理後薄層クロマトグラフィーにて分析したところglucose,maltose,maltotrioseが検出された.しかし,大部分の糖は糖蛋白の形で不溶画分中に残った.5.さらにこの不溶画分をSDS-PAGEで画分し,PAS染色を施したところ分子量約10,000以下の部分に陽性のバンドが認められた.6.以上のことより腫瘍間質のヒアリン物質の主体は,高度に加糖化された低分子糖蛋白質であると推定された.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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