雪状炭酸圧抵法の真皮メラノサイトにおよぼす作用の研究―C57BLマウス陰嚢皮膚を用いての研究―
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概要
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1)C57BLマウス陰嚢皮膚には真皮乳頭層より上層にかけて真皮メラノサイトが多数存在している.従ってこの陰嚢皮膚は真皮メラノサイトによる色素斑に対する雪状炭酸圧抵法の機序を研究するモデル皮膚として用いることが出来る.2)光顕上,雪状炭酸圧抵後30分ですでにメラニン顆粒の真皮内拡散がみとめられ,ついで2時間後にマスト細胞顆粒の拡散が顕著となった.圧抵後6時間で単核球,白血球の浸潤がみられ,24時間後にそれらによる貪食像がみとめられた.リンパ管内にもメラニンを貪食した細胞がみとめられ,この貪食細胞の数は3日目に著しく多かった.3)電顕上,雪状炭酸圧抵後30分で膠原線維間に遊離のメラノソームを多数認めたが圧抵後60分でほぼ消失した.光顕上拡散した微小なメラニン顆粒はこの真皮内に遊離したメラノソームに相当すると考えられる.圧抵後60分で局所リンパ節にメラニン顆粒の増加がみられ,又,マスト細胞内にメラノソームを多数みとめた.しかし,圧抵後2時間でメラノフェージ,メラノソームを貪食したマスト細胞の細胞膜は完全に消失し,メラノソーム,マスト細胞顆粒は再び真皮中に遊離の状態で存在した.6時間後,多核白血球,単核球が遊走して来,メラノソーム及びマスト細胞顆粒を多数貪食している像がみとめられた.4)圧抵局所皮膚の経時的なSHプロテアーゼの活性化は著しくなかった.又,プラスミンの活性化はみとめられなかった.5)雪状炭酸圧抵を繰り返すことにより真皮中のメラニン色素が減少する理由は,メラニン顆粒が,a)痂皮中に含まれて外界に去ること,b)リンパ節へ運ばれることにより減少するためである.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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