Bourneville-Pringle母斑症知見補遺―特に顔面皮疹および色素脱失斑について―
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概要
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Bourneville-Pringle母斑症(結節性硬化症)は,特に稀有な疾患ではないが,多数の症例についての報告は割に少ない.著者は57例の症例につき,顔面皮疹,色素脱失症を中心に本症の症状につき,臨床的,組織学的に検討し,次の結果を得た.臨床面では,顔面皮疹の病変は各症例毎に個人差が強いが,一般的には20才前後まで発育する.15才以上の症例では,顔面皮疹の軽重と他の全身症状との間に或る程度までは比例関係があることが認められた.色素脱失斑は不完全色素脱失斑であり,56%に存在したが,この有無と他の全身症状との間に相関関係は認められなかった.3例に肺のHoney comb様線維化症がみられた.組織学的には,色素脱失斑を除く全皮疹に弾力線維を全く欠くか,非常に少ない結合織線維の集団がみられた.顔面では,血管の拡張,増殖,血管周囲の細胞増殖が著明で,腰部の結合織母斑では,線維化の傾向が強いが,両者間には種々の中間型,移行型があり,全体を1つの結合織系の異常増殖過程と考えた.色素脱失斑部では,真皮結合織の変化は少なく,表皮メラノサイトのDOPA反応性の低下が主な所見で,これが真皮結合織の異常に由来するかどうかの断定は困難であった.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文