乾癬患者血清リノール酸の低下の特異性に関する検討
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概要
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尋常性乾癬患者50例(男,36例,女14例,平均49.3歳)と健常人40例(男,22例,女,18例,平均45.6歳)との血清総脂肪酸組成を分析し,比較した.乾癬患者では初診時ならびに治療経過中の2回~13回の早朝空腹時採血を行いその血清を用いた.乾癬患者群ではリノール酸(%)が24.13±0.600%,健常人では28.62±0.824%で健常人群に比し有意に低下していた(p<0.01).その低下にはリノレイン酸等の代償的上昇を伴っていなかった.リノール酸(%)のみの低下が特異的であった.その特異的低下は初診時,治療経過中,皮疹の改善増悪,治療内容の相違にもかかわらず常にみられた.従って特異的リノール酸低下には乾癬の病変の程度や治療内容は関与していないことが明らかとなった.このことから乾癬患者にリノール酸を多量に必要とするなんらかの代謝異常の存在が示唆された.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文