男性型脱毛の定量的評価 ―成長毛率および毛髪径を指標とした評価法の検討―
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概要
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男性型脱毛の定量的評価を目的として,男性型脱毛の男性64名の頭部4ヵ所を対象に成長毛率および毛髪径の測定を行った.成長毛率は,phototrichogramにより測定し,毛髪径は新たに開発した画像処理を応用した毛髪径測定システムを用い計測した.観察開始時の成長毛率は,左右に有意な差を認めなかったが,前頭部と頭頂部の間には有意な差が認められた.1年間の変動については,頭頂部のみ1.26%の有意な減少が認められた.毛髪径は,測定開始時の各部位間および左右間に有意な差を認めなかった.10ヵ月後の毛髪径は,各部位とも有意な減少を示し,4部位平均では1.2μmの減少を示した.測定開始時の毛髪径分布は,なだらかな2峰性の分布を示し,10ヵ月間で60μmを境に太い毛髪は減少し細い毛髪は増加するという分布形態上の変化が観察された.この分布に対し成長毛率をもとに層別化を行った結果,成長毛率の低下に伴い,毛髪径の分布の山が細い方へとシフトする変化が観察された.これらの毛髪径分布の形態を表す指標として毛髪径がxμm以上を示す毛髪の全毛髪に占める割合(分布パターン解析指標,Distribution Pattern Index: DPIx)を考案した.DPI60を指標として毛髪径分布の変化について解析した参果,DPI60は10ヵ月間で約2.9%の有意な減少を示した.毛髪径分布についても,成長毛率および毛髪径同様左右の部位間に差は認められなかった.以上の結果より,本法は,男性型脱毛の状態や進行を定量的に測定し,評価するための優れた方法であるとともに,薬剤をハーフヘッド法で評価するための有効な手段であると考えた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
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安達 健二
資生堂安達研究所
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石野 章博
資生堂皮膚科学研究所
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辻 善春
資生堂皮膚科学研究所
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宇塚 誠
資生堂皮膚科学研究所
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仲西 城太郎
資生堂安達研究所
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半澤 範朗
資生堂学術部
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岡崎 邦宣
資生堂学術部
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