Esculinのmelanogenesis抑性作用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
クマリン配糖体の1つであるesculinに,B16メラノーマ細胞に対するメラニン産生抑性作用が認められた.esculinは細胞増殖に影響を与えない濃度でメラニン産生を可逆的に抑性し,その力価は約10μMであった.HPLCを用いたメラニン定量の結果,esculinは細胞当たりのユーメラニン生成を特異的に抑性し,フェオメラニンには影響を与えなかった.さらに,esculinは細胞のDNA合成・タンパク合成活性にも影響しないことが示された.esculinのチロシナーゼ粗酵素に対する試験管内での活性阻害能はIC50=10mMと,培養系に比較して著しく高濃度であったため,直接的なチロシナーゼ阻害以外の作用機序が想定された.そこで,チロシナーゼのアイソザイム分析並びにノーザンハイプリダイゼーションを行ったところ,esculin濃度に依存したT3,T1アイソザイム活性の低下とチロシナーゼmRNA発現量の減少が認められた.以上の実験結果から,esculinの主要な作用機序として,チロシナーゼ遺伝子の転写レベルでの抑性によるチロシナーゼタンパクの生合成阻害が強く示唆された.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
-
中野 博行
ポーラ化成工業(株) 医薬品研究所
-
片桐 崇行
ポーラ化成工業(株)中央研究所皮膚科学研究部
-
横山 浩治
ポーラ化成工業(株)中央研究所皮膚科学研究部
-
小磯 一郎
ポーラ化成工業(株)中央研究所皮膚科学研究部
-
松上 道雄
ポーラ化成工業(株)中央研究所皮膚科学研究部
関連論文
- 新規ドパミン取り込み阻害剤PR-000608のMPTP処置マウスに対する効果
- 40. 新規気管支拡張薬PR-001337のモルモット気道平滑筋に対する作用
- Esculinのmelanogenesis抑性作用