ダイアライザーを用いたヒト好中球ゼラチナーゼの精製と単クローン抗体の作成
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概要
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慢性腎不全患者治療後数時間の人工腎臓透析器に直接操作を加え,得られた抽出液を出発材料として膜に付着している好中球に対する脱顆粒刺激によって放出されたと思われるゼラチナーゼを精製した.精製に際してゼラチンカラムが有用であり,電気泳動の結果から,今回精製されたヒト好中球ゼラチナーゼは活性化前に主に約12万と10万,活性化後には9.5万と8万の分子量を持つことが判明した.ELISAおよびウエスタンブロット法でスクリーニングされた3種のモノクローナル抗体は,いずれも抗原抗体複合体の形でゼラチン分解活性を示し,エピトープが活性中心とは異なった部位にあると考えられた.また,得られた抗体はいずれも,免疫蛍光抗体間接法で,末梢血より分離した好中球の細胞内顆粒に確かに陽性であり,抗体の作製時も含め,かなり大量の好中球の酵素が必要な際には,今後ダイアライザーを用いることにより比較的簡便な手技で非侵襲的な処理により研究材料を供することができると考えられた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文