各種glucocorticoidの表皮細胞角化への影響―第1報:培養表皮細胞のカルシウム依存性分化系におけるtransglutaminase活性への影響―
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概要
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表皮細胞角化に及ぼすglucocorticoid(GCの種類と濃度の影響を検討するため,培養マウス表皮細胞のカルシウム(Ca)依存性分化の実験系を用い,この系に対し,hydrocortisone(HC),prednisolone(PR),triamcinolone acetonide(TA),dexamethasone(DX)の4種のGCを10-4~10-8g/mlの濃度で添加し,transglutaminase(TG)活性の変化を観察した.1)GCの濃度のC2添加48時間後のTG活性に及ぼす影響:TG活性は,HC,PR,TAについては,10-7g/ml以下の低濃度ではGC無添加対照に比して高値を,10-6g/ml以上の高濃度では低値を示した.しかし,DXについては他のGCと異なり,全ての濃度で低値を示した.高濃度のGCが培養表皮細胞のTG活性を抑制したことから,GC外用による表皮角層の菲薄化の機序として,高濃度のGCが直接角化を抑制している可能性が示唆された.2)GCの種類のCa添加48時間後のTG活性に及ぼす影響:TG活性を,高値のものから順に示すと,10-7g/ml以下の低濃度ではHC,PR,TA,DXの順であり,10-5g/ml以上の高濃度ではDX,TA,HC,PRの順であった.以上から,GCの表皮細胞角化に及ぼす影響は,添加するGCの濃度により異なった反応を示し,少なくとも抗炎症効果と同等ではないものと考えられた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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