胎児皮膚生検による先天性表皮水疱症の出生前診断(Prenatal Diagnosis)
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概要
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日本では未だ施行されていない先天性表皮水疱症の胎児皮膚生検による出生前診断の典型例を報告した.母親は22歳イギリス人女性.本人および夫に先天性表皮水疱症(EB)の家族歴は全くなかったが,第一子はHerlitz致死接合部型EBに罹患しており一歳時に死亡した.2年後に再び妊娠したため出生前胎児診断を希望し,1989年10月にロンドンのセントトーマス病院を受診した.Fetoscopyで胎生18週の胎児皮膚を生検し検索したところ,電顕的にlamina lucidaでの表皮,真皮の解離が認められた.蛍光抗体間接法では胎児皮膚基底膜部のGB3抗原は完全に欠如していた.以上より今回妊娠中の胎児もHerlitz型EBに罹患していると診断した.両親の希望により妊娠を中絶した.中絶後の胎児皮膚の精査により,胎児はやはりHerlitz型に罹患していたことが確認された.過去10年間に英国Institute of Dermatologyで実施した胎児皮膚生検によるEBの出生前診断54例の経験に基づき,その社会的意義並びに日本で実施する場合の問題点について述べた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
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Olivia MV
Department of Cell Pathology, Institute of Dermatology, St. Thomass Hospital, London, England
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清水 宏
Department of Cell Pathology, Institute of Dermatology, St. Thomass Hospital, London, England
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Robin AJ
Department of Cell Pathology, Institute of Dermatology, St. Thomass Hospital, London, England