悪性リンパ腫の特異疹に関する研究―第1報:臨床学的・組織学的・免疫学的特徴―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
開院以来約11年間に,組織学的に悪性リンパ腫による皮膚病変と診断された31例につき検討した.①院内全悪性リンパ腫の特異疹の発生頻度は17.7%,男女比2:1,平均年齢男58.0±15.0歳,女44.2±18.6歳であった.②初発病巣別にみると,皮膚はHDを含めた悪性リンパ腫の中では5.8%,HDを除く悪性リンパ腫の中では6.9%を占めた.③31例を皮膚を初発とするA群10例,A群以外で皮膚を主な反応の場とするB群7例,皮膚以外を主な反応の場として皮膚を侵すC群14例に分けて検討した.特異なATLL慢性型の1例を除けば,皮膚病変のみの期間については群間に有意な差を認めた.④臨床的・組織学的なA群・B群におけるC群との違いは,表皮向性が見られること,T細胞性リンパ腫が優位であること,広範な皮疹を示すこと,1症例当たりの皮疹形態が多彩であること,であった.⑤A群は特異的な局面形成により,B群・C群より区別され,P-MAが高頻度であることにより,B群とは区別された.⑥B細胞性リンパ腫には表皮向性(表皮内浸潤)・真皮内表皮向性は1例もなかった.真皮内表皮向性はT細胞性リンパ腫のみでなく,null cell型リンパ腫やHDにもみられた.これらより,T cell-表皮-A群との密接な関係が確認された.⑦皮疹の自覚症状・自然消褪には群間差はなく,約20~50%に認められた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文