政策としての実践コミュニティ:―コミュニティが文化所有をしているという視点―
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概要
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現在のコミュニティ施策として、市民による参画と協働が期待され、実践されてもいる。ある住民がコミュニティ活動に熱心に参加したら、行政は評価し、また、そのような参加者の多いコミュニティを望ましいコミュニティと見なしている。そのこと自体は否定すべきではないが、私は人類学者ジーン・レイブと認知科学者エティエンヌ・ウェンガーが「学習」の研究から使い始めた「実践コミュニティ」 (Community of Practice) という考え方が従来のコミュニティ政策の考え方と異なっており、その違いが今後の政策に役に立つのではないかと思い始めた。その考え方は、市民がコミュニティに貢献するという従来の考え方ではなく、コミュニティが住民に価値あるものを与えるという考え方である。彼らはフィールド調査からそのようなことを得たと言う。本稿では、彼らの考え方に依拠しつつ、もう一歩進み、コミュニティが文化を所有しており、その文化を市民が享受しているという考え方を、神戸市の事例を用いて証明しようとした。レイブとウェンガーが使っているキーワードとして「正統的周辺参加」 (Legitimate Peripheral Participation) という概念があるが、神戸市の事例では、それを子どもたちに当てはめて考えてみた。
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