リンパ腫の既往がある成人に発症し遷延した水痘の1例
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概要
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56歳,男性。2009年に混合型濾胞性リンパ腫を発症し,化学療法により寛解状態であった。2012年3月中旬より前胸部に丘疹が出現し軽快しなかったため,皮疹出現から23日後に当科を受診した。初診時,体幹に紅色丘疹を数個認めた。皮疹出現から27日後,小水疱・紅色丘疹が全身に散在していたため,水疱部より Tzanck 試験を施行し巨細胞を認めた。初診時に生検した紅色丘疹の病理組織像からも水疱内に核内封入体を伴う多核巨細胞が確認された。水痘・帯状疱疹ウイルス特異的抗体価 IgM および IgG の上昇も確認された。以上の所見よりリンパ腫の既往がある成人に発症した水痘と診断した。アシクロビルの投与を開始したところ,治療開始14日後に軽快した。自験例は,皮疹出現から全身散布までに長期を要し,経過中に発熱・倦怠感等の全身症状を認めないなど極めて非典型的な臨床経過を呈した。(皮膚の科学,13: 89-92, 2014)
- 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会の論文