他科における最新の診断方法:―消化器内視鏡検査―
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概要
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消化器内視鏡検査は, 消化管癌を早期に発見するために開発され進歩してきた. 現在も内視鏡機器開発は目覚ましく, 日常臨床における検査も日々進歩している. 日常臨床に組み込まれた新しい機器として経鼻内視鏡, カプセル内視鏡, バルーン内視鏡がある. 経鼻内視鏡は検査の侵襲を改善しスクリーニングとして広く取り入れられている. カプセル内視鏡やバルーン内視鏡により, 今まで内視鏡が到達しなかった小腸の観察も可能になり, 原因不明の消化管出血に対する診療は変わった. また, 内視鏡画像としては, デジタル法や光デジタル法を中心とした画像強調観察や拡大内視鏡の進歩が目覚ましい. 光デジタル法の一つである NBI (Narrow Band Imaging) では, ヘモグロビン吸収波長である415~540nm の短波長狭帯域を用いて, 粘膜表面の血管情報を強調して粘膜表面の血管の顕在化に成功した. 拡大内視鏡観察は, 拡大機能を持つ内視鏡で, 生体内で粘膜模様等の精査が可能になり, 大腸では病変の腺管開口部 (pit) のパターンによる分類が広く普及している. NBI と拡大観察の組み合わせでは, 病変内部の血管の形状変化などによる診断が可能になってきており, 食道癌の深達度診断や胃の小陥凹病変での鑑別診断における有用性が報告されている. NBI 導入による最もインパクトのある新しい知見は中下咽頭領域における表在癌の発見である. 表在癌は, NBI で明瞭な茶褐色腸粘膜域 (brownish area) として視認可能である. これにより, 現在は経口内視鏡を用いた通常内視鏡検査でも, 食道癌患者を中心としたハイリスク症例では挿入時に中下咽頭領域をくまなく観察している. 中下咽頭表在癌には, 消化管早期癌に対する内視鏡切除技術を応用した内視鏡治療が行われている.
- The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.の論文
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