抄紙機におけるケイ酸ナトリウムによる「ろ水性」および「系内汚れ」への影響
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概要
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長年にわたり,ろ水性や系内汚れに影響するリサイクルプロセスからのケイ酸ナトリウムの後工程への持ち越しに関する研究が方々の工場で行われている。ケイ酸ナトリウムはフローテーション法による脱インキプロセスの漂白助剤以外にもメリットが実証されているが,抄紙機における問題点の所見が報告され,懸念を生じさせている。パルプ化においてケイ酸ナトリウムに代わる化学処理の開発には多くの取り組みや関心が傾注されており,これまでに行われた実地試験報告は良好で有望であるように思われる。パルプ化処理におけるケイ酸ナトリウムの代替処理から得られるメリットには,例えば次のようなものがある。<BR>・同様の質の脱インキパルプ(DIP)が得られる。<BR>・パルプ生産設備からのアニオントラッシュの残留が低減する。<BR>・パルプ生産設備と抄紙機の両方におけるプロセス導電率が低くなる。<BR>・リジェクト濃度が低下することにより,歩留まりが向上する。<BR>・パルプ生産設備の性能と抄紙機の操業性が向上する。<BR>・全体的な薬品コストを節減できる。<BR>古紙再生プラントにおけるケイ酸ナトリウムの置き換えについて調査した近年の研究は,ろ水時間や濁度,汚れ付着挙動の違いを観察する契機となった。本稿ではまず,脱インキ工程にケイ酸ナトリウムを使用しない場合,「ポリマーのみ」と「ポリマー/ナノ粒子シリカ」を使用した歩留まり・ろ水向上剤でろ水効果にどのような違いが生じるかについて考察した。次に,粘着度の測定とコロイド状粘着物質の濃度を併用することにより,ケイ酸ナトリウムが紙の塗工とどのように相互作用し,抄紙機の性能に有害性を及ぼすおそれのあるデポジットを形成するかを実証した。
- 紙パルプ技術協会の論文
著者
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Ong Hui
アクゾノーベル株式会社 パルプ アンド パフォーマンス ケミカルス事業部
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Derek Maddox
アクゾノーベル株式会社 パルプ アンド パフォーマンス ケミカルス事業部
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R. Daniel
アクゾノーベル株式会社 パルプ アンド パフォーマンス ケミカルス事業部
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田中 光一
アクゾノーベル株式会社 パルプ アンド パフォーマンス ケミカルス事業部
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Joseph Shu
アクゾノーベル株式会社 パルプ アンド パフォーマンス ケミカルス事業部