コムギの発育段階の推定モデル
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
茨城県つくば市において複数年次,複数作期で栽培した農林61号,シロガネコムギ (以上,秋播性程度II),さとのそら (秋播性程度IV) の発育データから,DVR (発育速度) とその積算値であるDVI (発育指数) を用いた方法により,出穂期,成熟期に加えて出芽期,茎立期,開花期を推定可能な発育予測モデルを開発した.茎立期には年次および品種による差が大きく現れた.播種期が早い場合,秋播性程度の高いさとのそらは他の2品種よりも茎立期が遅れ,播種期が遅くなると茎立期の品種間差は小さくなった.出芽期から茎立期の発育相では気温に加えて日長の影響も取り入れたDVR式がよく当てはまった.その他の発育相では,気温のみのDVR式で生育期間の変化を表すことができた.播種から成熟までを,出芽期,茎立期,出穂期,開花期で分割した発育モデルにより,関東地域および全国で行われた栽培試験の出穂期および成熟期を推定したところ,茎立期,出穂期および成熟期を二乗平均平方根誤差 (RMSE) 4から6日の誤差で推定可能であった. ただし,出穂期と成熟期のみを予測する目的では,播種期から成熟期を出穂期で2相に分割するモデルの推定精度のほうが高かった.
- 日本作物学会の論文
著者
-
大野 宏之
農研機構中央農業総合研究センター
-
佐々木 華織
農研機構中央農業総合研究センター
-
吉田 ひろえ
農研機構中央農業総合研究センター
-
中川 博視
農研機構中央農業総合研究センター
-
中園 江
農研機構中央農業総合研究センター東海研究拠点