発話明瞭度から見えてくる背景と言語発達
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
感覚器障害戦略研究(聴覚分野)・症例対照研究の結果から,高度難聴児の発話明瞭度に関係する因子について検討した。発話明瞭度の指標である SIR(Speech Intelligibility Rating)は簡易であるが信頼性が高いと考えられた。<br/> 高度難聴児の約 8 割は SIR の評価が 3~5 の発話良好群に属していた。良好な発話明瞭度には,補聴閾値および語音明瞭度を良好に保つことが重要であり,そのために人工内耳は有益なツールであることが示唆された。<br/> 言語評価の視点からは,全ての言語評価項目,すなわち基本的語彙の理解力(PVT–R),抽象的語彙の理解力(SCTAW),語彙の産生力(WFT),構文の理解力および産生力(STA),総合的コミュニケーション力(TQAID)のいずれも発話明瞭度良好群が有意に高いスコアを示し,同良好群は約 4 倍のオッズ比をもって言語力が高いことが明らかとなった。<br/> 発話の明瞭性と言語力とは音韻処理能力を介して相互に強固なつながりを有し,聴覚障害児の発達を評価する際には各々の側面からの検討が必要である。
- Japan Society for Pediatric Otorhinolaryngologyの論文
Japan Society for Pediatric Otorhinolaryngology | 論文
- 血球貪食症候群(HPS) : とくにウイルス関連血球貪食症候群(VAHS)について
- 神経(筋)疾患児(主に重度神経障害児)における閉塞型睡眠時無呼吸発作を含む上気道閉塞性換気障害の診断と治療法の検討:その2:Nasal Airwayによる上気道閉塞性換気障害治療の有効性について
- 神経(筋)疾患児(主に重症心身障害児)における閉塞型睡眠時無呼吸発作を含む上気道閉塞性換気障害の診断と治療法の検討:その1 気道透視による診断と病態の検討
- 小児顔面神経麻痺症例の臨床的検討:乳幼児, 学童別の検討
- 顔面表情運動の定量的検討:小児と成人における比較検討