麻酔管理モデルへのゲーム理論の適用は周術期危機管理に有用か? シミュレーションによる検討
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概要
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緒言: 周術期医療の至的な目標は個々の患者の抱える医療上の問題管理を担保した上で最善の結果を得ることである。私は術前・術中の患者・医療チーム・予定術式・麻酔方法に関連する因子と術中・術後のアウトカムとインシデント発生の関係を報告した。このモデルを利用すれば、周術期のインシデント発生を予測でき、かつ予防できる可能性がある。本研究では、ゲーム理論の考え方をモデル上に取り込むことにより、周術期のインシデント発生を減少させることが出来るかどうかをシミュレーションにより検討した。方法: 本研究では、磐城共立病院麻酔科で得られた周術期麻酔台帳のデータ(n=3,408)を利用して作成したモデルを使用した。前研究で得た6種の周術期リスクモデル(1)である、術中メジャー心血管系イベント (IO-MCV), 術中心血管系イベン (IO-CV), 術中呼吸器系イベント (IO-RESP), 術後心血管系イベント (PO-CV), 術後呼吸器系イベント (PO-RESP), そして術後神経系イベント (PO-CNS), について、以下のように処理をした。まず、各独立変数を調節可能因子と調節不能因子に分類した。調節可能因子の各モデルにおける関与を、ナッシュ均衡の考えから関係者に影響を与えず、イベント発生に対して最小になるように調整した。新たに得られた周術期患者データに対して、上記処理を加えたグループ(オリジナル群)と加えていないグループ(操作群)間に、イベント発生の上で有意差があるかどうかをStudent's t-test を用いて検定した。P<0.01 を有意と判断した。結果: ゲーム理論を適応した結果、IO-MCV, IO-RESP, PO-CV, PO-RESP and PO-CNS のイベント発生は有意に抑制されたが、IO-CV の発生の変化は有意ではなかった。結語: 周術期リスクモデルにゲーム理論を用いることにより、周術期イベント発生を予防できる可能性がある。参考文献: 1. Yamaguchi H. 2005.
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横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合) | 論文
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