初めての安定なアントリルジホスフェン類の合成・構造・性質
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概要
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初めての安定なアントリルジホスフェン誘導体<B>1</B>および<B>2</B>(図参照)の合成・単離に成功した。各種スペクトル測定およびX線結晶構造解析の結果から、<B>1</B>および<B>2</B>の十分なP=P二重結合性が支持された。アントラセンの9位を含むCPP面とアントラセン平面とのなす角は約80°であり、結晶構造におけるパイ共役は小さいと考えられる。一方、<B>1</B>および<B>2</B>のヘキサン溶液中の紫外可視吸収スペクトルにおいて、530 nm付近にアントラセンのパイ軌道からジホスフェンのパイ*軌道への電子遷移に由来する吸収が観測され、アントラセン部位とジホスフェン部位との電子的な相互作用が示唆された。また、<B>1a</B>からは微弱ながら発光が観測された(吸収極大波長:432 nm, 量子収率:1.2×10-3, 発光寿命:ca. 10 ns)。
- 基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)の論文
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会) | 論文
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