昭和大学病院血液内科における血液疾患の統計調査
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概要
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血液疾患の多くは発症頻度が低く,また,疾患分類の変遷や疾患単位数が極めて多様な為,記述疫学情報が不十分である.昭和大学病院で血液疾患と確定診断した症例を後方視的に集計し,発症動向を調査した.対象症例は2005年1月から2011年12月までの7年間に昭和大学病院血液内科を初診した1824例(男性828例,女性996例)である.年齢分布は15~98歳で平均60.0歳であった.腫瘍性疾患が56%,非腫瘍性疾患が44%の比率であった.腫瘍性疾患のうちリンパ系腫瘍が60%,骨髄系腫瘍が40%であった.調査対象期間の7年間において,リンパ系腫瘍と骨髄系腫瘍の罹患者数の比率に有意な変化はみられなかった.形質細胞腫瘍において,意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)以外の形質細胞腫瘍は,MGUSよりも有意にλ型の占める割合が高かった(P=0.04).非腫瘍性疾患では,鉄欠乏性貧血が45.3%を占め,特発性血小板減少性紫斑病17.5%だった.本調査結果は血液疾患研究の基盤となるものである.血液疾患の発症動向の評価や病因の解明のためには,正確で網羅的な登録による継続的な疫学調査が必要である.
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昭和大学学士会 | 論文
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