東京都城南地区における重症熱中症の実態
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概要
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東京都城南地区における重症熱中症の実態について調査し,その特性を把握する事を目的とした.昭和大学病院における2009年6月から2011年9月までの期間で,III度熱中症と診断された患者の年齢,性別,発症状況,合併症,予後などについて調査し,Heatstroke STUDY2010と比較した.本研究で対象とした症例は16例で,男女比は9:7で,平均年齢は73.8歳であった.発症状況に関しては,日常生活動作が15例(94%)であった.それらのうち,屋内での発症が11例(73%),歩行中が3例(20%),自宅内トイレが1例(7%)であった.合併症は,中枢神経障害が16例(100%),持続的血液濾過透析(CHDF)使用症例が1例(6%),播種性血管内凝固症候群(DIC)が7例(44%),肝機能障害が6例(38%)であった.予後については,死亡が1例(6%)あった.また,2010年の夏は記録的な猛暑であったが,昭和大学病院での症例から検討する限り,各年度の差異は少ないと考えられた.Heatstroke STUDY2010における発症状況の詳細については多彩な状況が見られているが,自宅内での発症は52%にとどまっている.合併症については,本研究での症例ではDICが多く見られた(44%).これは,高齢者の症例が多かったことと関連していると考えられる.一方で死亡率に関しては,Heatstroke STUDY2010では13%であったのに対して昭和大学病院では6%にとどまった.これは,全例が救命センターへ入室し集中治療を受けたことが奏功したと考えられる.今回の調査から,今後の城南地区における熱中症予防対策としては,特に高齢者における古典的熱中症の予防が重要と考える.現在の高齢者をとりまく社会事情には厳しいものがあり,地域のセーフティーネットが整備される必要があると考えられる.
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昭和大学学士会 | 論文
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