学校保健と地域保健の連携による思春期発達障害児支援の取り組み 思春期精神保健対策の必要性
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概要
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目的 学校保健と地域保健が連携し,発達障害に起因する二次障害を含め思春期の児童の心の問題に対する支援体制のあり方を検討する。 <br/>方法 平成21および22年度に実施した思春期心の健康支援方策検討事業の内容は①心と体の健康調査,②支援方策検討カンファレンス,③事後支援から成る。対象はモデル小学校の 5 年生計312人(21年度89人,22年度223人)。児童および保護者に心と体の健康調査票(子どもの強さと困難さアンケート25問および生活や心身の健康面に関する質問10問)への回答を求めた。支援方策検討カンファレンスでは,学校と保健所を含む地域の保健・福祉・教育・医療機関のスタッフが調査票への回答結果をもとに支援内容を検討し,必要に応じて個別の事後支援を実施した。<br/>結果 本事業への保護者同意のあった294人中,発達障害等に起因する困り感に対し個別的,専門的な事後の支援が必要とされた児童が30人(10.2%),その他友達関係がうまくいかない,不安が強い,生活習慣の乱れなど日々教師が気をつけて対応する必要のある児童が74人(25.2%)あった。一方,支援の必要度と児童の「体がだるいし元気がでない」,「理由もなくイライラする」,「好きなことでも楽しめない」,「悲しいつらいと感じる」等心身の不調面への回答には有意な関連を認めた。<br/>結論 支援が必要と考えられた児童のもつ問題点は軽微な問題を含め多様化しており,学校現場において発達障害児の二次障害の予防の視点のみならず,ひろくメンタルヘルス対策が必要であると考えられた。母子保健や精神保健対策を担う保健所は学校保健と連携し,児童期のメンタルヘルス対策を推進する必要があると考えられた。
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日本公衆衛生学会 | 論文
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