減量教室の講義回数を自由選択した時の効果 体重減少,脱落者数,1年後の体重維持に着目して
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概要
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目的 講義の総時間数,期間,教授内容は等しく,講義回数の多寡のみ異なる 2 つの減量教室を開催し,週 1 回または週 2 回の減量教室を自由選択した時の減量効果と減量維持効果,脱落者数について比較することとした。<br/>方法 対象者は,心血管疾患の危険因子(例えば,肥満,高血圧,脂質異常,高血糖など)を最低 1 つを有し減量することが望ましい52人の中年女性であった。週 1 回(120分)の教室を自ら選択した群(週 1 回教室自由選択群)26人,週 2 回(60分/回,計120分/週)の教室を自ら選択した群(週 2 回教室自由選択群)11人,希望に反して(週 1 回教室の定員の超過に伴って)週 2 回の教室に割り付けられた群(週 2 回教室非自由選択群)15人であった。減量教室の講義の総時間数は26時間,期間は13週間,目標エネルギー摂取量は1200 kcal/日に統一した。週 1 回教室の群は,1 回 2 時間の講義を,週 2 回教室の両群は,1 回 1 時間の講義を受けた。教室修了から 1 年後,参加者に質問紙を郵送し,自己申告にて体重の情報を得た。<br/>結果 13週間の教室期間中の脱落者数は,週 1 回教室自由選択群で 5 人(19.2%),週 2 回教室自由選択群で 1 人(9.0%),週 2 回教室非自由選択群で 8 人(53.3%)であり,有意差(P<0.05)が認められた。体重は各群とも参加前から後にかけて有意に減少し(週 1 回教室自由選択群:−4.3±2.7 kg,週 2 回教室自由選択群:−6.7±3.0 kg,週 2 回教室非自由選択群:−6.0±3.4 kg),週 2 回教室自由選択群の体重減少量が他の群より有意に大きかった。1 年後の体重に有意な増加は認められなかった(週 1 回教室自由選択群:+0.4±1.3 kg,週 2 回教室自由選択群:−0.1±2.3 kg,週 2 回教室非自由選択群:+0.5±0.6 kg)。繰り返しのある二元配置分散分析では,体重の変化に有意な交互作用(時間×群)は認められなかった。<br/>結論 講義回数を増やすことで介入中の減量効果が高まり,講義回数が少ないと 1 年後の調査回答数•率が低くなることが示唆された。また,自由選択群の脱落者は非自由選択群よりも少ないことから,参加者のニーズに合わせた講義回数は脱落者を減らせる可能性がある。
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