出産後における踵骨超音波骨量の変化について
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概要
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目的 出産後 3, 4 か月および 3 年後の女性の踵骨骨量の変化と生活習慣および食習慣との関連について検討することを目的とした。<br/>方法 東京都 T 区 I 保健所において,3, 4 か月児健康診査および 3 歳児健康診査において骨量測定を行った母親331人を対象とし,身体状況,生活習慣,食習慣等についてのアンケート調査を行った。<br/>結果 対象者の 3, 4 か月児健康診査に超音波踵骨測定装置で求められた Stiffness から,中央値以上の対象者を骨量高値群,中央値未満の骨量低値群の 2 群に分けた。その結果,「牛乳•乳製品は毎日摂っていますか」の質問に,「はい」と答えた者が骨量高値群で76.2%(128人),骨量低値群で65.6%(107人)であり,群間に有意な差がみられた(P=0.035)。さらに 3 歳児健康診査測定の Stiffness の変化率を算出し,増加群,無変化群,減少群の 3 群に群分けを行ったところ,骨量高値群における増加群は28.6%(48人),無変化群は18.5%(31人),減少群は53.0%(89人)であり,骨量低値群における増加群は56.4%(92人),無変化群は15.3%(25人),減少群は28.2%(46人)であった。「牛乳•乳製品は毎日摂っていますか」の質問について,骨量高値群では群間に有意な差はみられなかったが,骨量低値群では増加群で62.0%(57人),無変化群で48.0%(12人),減少群で39.1%(18人)が「はい」と回答し,3 群間に有意な差が認められた(P=0.036)。一方,「10代に部活などで激しい運動をされていましたか」および「現在運動不足だと思いますか」の運動に関する質問については,骨量高値群•骨量低値群ともに,増加群•無変化群•減少群間に有意な差はそれぞれ認められなかった。<br/>結論 出産後 3, 4 か月から 3 年までの間に,骨量高値群における骨量が減少した者は53.0%と過半数を占め,骨量低値群においても,28.2%で減少が認められた。出産後 3, 4 か月において骨量が低値であった者では,牛乳•乳製品の積極的な摂取が骨量増加に効果的であることが示唆された。
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