病棟に勤務する看護職の就業継続意向と看護実践環境との関連 The Practice Environment Scale of the Nursing Work Index (PES–NWI)日本語版の応用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的 マグネット•ホスピタルの特性に基づいて開発された the Practice Environment Scale of the Nursing Work Index (PES–NWI)日本語版を用いて測定した看護実践環境と看護職の就業継続意向,病棟別離職率との関連を検討することを目的とした。<br/>方法 東京都内の 5 病院91病棟の看護職2,211人を対象に無記名自記式調査票を用いた郵送調査を行った(2008年 2~3 月)。調査内容は,看護職特性(性別,年齢,看護経験年数等),看護実践環境(PES–NWI),就業継続意向,職務満足に関する項目等である。就業継続意向は,来年の今頃も現病院で働いているかどうかを 4 段階(「勤めている」から「勤めていない」)で尋ねた。病棟別離職率算出に必要な数値は,別途,看護部経由で病棟師長に回答を依頼した。就業継続意向を従属変数,PES–NWI や看護職特性を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。離職率と PES–NWI 得点との相関関係を検討した。<br/>結果 有効回答者1,067人(有効回収率48.3%)は,女性95.9%,平均年齢29.2歳であり,総看護経験年数は平均7.0年,現病院では5.8年の経験があった。PES–NWI の Chronbach's α は 5 つのサブスケール別では0.77から0.85,サブスケール全体では0.75であった。PES–NWI サブスケール得点および合成得点には職務満足度得点と有意な相関があった。看護職特性で調整した上で,PES–NWI サブスケール得点や合成得点による就業継続意向への影響を検討したところ,PES–NWI のサブスケール得点の一部および合成得点が,就業継続意向と有意に関連した(P<0.05)。病棟別離職率は平均10.4%,新卒のみでは平均17.6%であり,何れも PES–NWI サブスケール得点の一部および合成得点と有意に関連した。<br/>結論 就業継続意向を従属変数としたロジスティック回帰分析や,病棟別離職率との関連において,PES–NWI で測定した看護実践環境は,就業継続意向とは正の,離職率とは負の関係があり,看護実践環境を整えることは,看護職の定着に寄与しうることが示された。内的整合性や基準関連妥当性が確認されたことから,PES–NWI 日本語版は,日本の病棟における看護実践環境を測定するツールとして一定の信頼性•妥当性を備えていると考えられる。
- 日本公衆衛生学会の論文
日本公衆衛生学会 | 論文
- 心理的健康の維持・増進のための望ましい生活習慣についての疫学研究
- 脳卒中予防対策地域における脳卒中発生状況と重症度の推移に関する疫学的研究
- 健康づくりのための運動指針2006の認知状況と他の健康づくり施策の認知および人口統計学的変数との関連
- 在宅生活をしている統合失調症患者のWHOQOL-26尺度に影響を与える要因の検討
- 肥満児の体力と保健指導プログラムにおける運動療法の効果