一般住民における地域社会への態度尺度の再検討と健康指標との関連
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概要
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目的 地域を基盤としたヘルスプロモーション活動や介護予防活動を効果的,効率的に実施する上で,人々が地域社会に対して持つ態度や意識,すなわちコミュニティ意識を把握することは重要である。本研究では,このコミュニティ意識の測定を目指した代表的尺度である地域社会への態度尺度の一般住民における信頼性,妥当性を検討すること,および健康指標との関連を検討することを目的とした。<br/>方法 2009年 2 月に郵送による無記名自記式質問紙調査を実施した。千葉県柏市にある地区社会福祉協議会エリア23か所から,地域特性が多様となるように 7 か所選定し,そこに居住する20歳以上の地域住民93,110人から4,123人を系統抽出した。調査項目は,地域社会への態度尺度(作成されたのが1978年のため,一部項目のワーディングを変更),基本属性,および主観的健康感等を含む健康指標であった。尺度の検証には,確証的因子分析,内的整合性の検討,Item–Total 相関分析によって行い,健康指標との関連は各指標を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。<br/>結果 配布数4,123票のうち,1,735票が回収され,そのすべてを有効回答とした(回収率42.1%)。確証的因子分析の結果,原本通りの 2 因子性が支持された。また,内的整合性の検討,Item–Total 相関分析でも良好な結果であった。健康指標との関連では,地域社会への態度尺度得点が高いほど,主観的健康観が良好であり,将来への不安がなく,孤独感が低いという結果であり,生活習慣との関連は認められなかった。<br/>結論 尺度が作成されたのが1978年であるものの,一部項目のワーディングを変更することで現代でも使用可能であることが示された。今後はコミュニティ意識を向上させる方法論の検討とともに,健康に影響を与える機序についての検証が必要である。
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