救急活動記録票における転倒・転落記録状況の調査
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概要
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目的 本研究では,消防本部の救急活動記録票における転倒•転落記録状況を明らかにすることを目的としたアンケート調査を行い,救急搬送を伴った転倒•転落の全国調査に向けた予備的検証を行った。<br/>方法 対象は,全国の市町村に設置されている全消防本部807機関とした。調査期間は,平成19年12月から平成20年10月とし,解析対象は,本研究への承諾と同意が得られ,アンケートの回収が可能であった584機関とした。調査内容は,救急活動記録票において一般負傷に分類された事故の中から転倒•転落を抽出できるかどうかをまず調査し,転倒•転落の抽出が可能な機関については,転倒•転落の定義の使用状況,受傷者の性別,年齢,転倒場所,診断名の調査状況,受傷者の診断名の聴取時期,救急活動記録票の保存方法について調査を行った。<br/>結果 解析対象とした584機関のうち,転倒•転落の抽出が可能な消防本部は258機関(44.2%)であった。転倒•転落の定義を用いていない消防本部が178機関(70.1%)と最も多く,次いで東京消防庁の定義に準じている消防本部が59機関(23.2%)であった。受傷者の診断名の聴取時期は,医療機関に搬送後すぐ確認する消防本部が98機関(48.5%),医療機関に搬送して数日後に確認する消防本部が104機関(51.5%)であった。<br/>結論 転倒•転落の抽出が可能な消防本部は,解析対象とした消防本部の約半数を示し,そのうち約70%が転倒•転落の定義を用いておらず,消防機関において転倒•転落の定義が明確化されていない実態が明らかとなった。今後,救急活動記録票を用いた転倒•転落状況の全国調査および地域間での比較を行う場合は,既存のデータを単純に使用することは注意を要し,事故概要や診断名の聴取時期を確認するなど,現状を踏まえた対応が必要であると考えられた。
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