一般病院に勤務する看護師の禁煙支援の現状と関連要因の検討
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概要
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目的 一般病院に勤務する病院看護師において,禁煙に有効性が示されている支援の実践状況とその関連要因を検討することを目的とした。<br/>方法 参加同意の得られた 3 病院に勤務している病棟と外来の看護師1,206人に無記名自記式質問紙を配布した。843人から回答が得られ(回収率69.9%),830人を分析対象とした。調査項目は基本属性,喫煙行動,仕事ストレッサー,禁煙支援方法に関する学習経験,害や支援法の知識,禁煙支援に対する態度,主観的規範,自己効力感,意思,禁煙支援(Five "A's")であった。記述統計量を算出し,禁煙支援(Five "A's" 支援段階別)に影響を与える要因を検討するために重回帰分析を行った。対象者には口頭および文章にて,研究の主旨,匿名性の保持,データの厳重な取り扱いに関して説明を行った。<br/>結果 喫煙の有無を尋ねる(Ask)者は87.8%,禁煙を勧める者(Advice)は88.4%,禁煙する意思を評価する(Assess)者は67.5%,禁煙を試みることを支援する(Assist)者は66.6%,再喫煙を防止するために支援する(Arrange)者は53.3%であり,いずれの支援も全く行わない者は9.0%であった。禁煙支援(Five "A's" 支援段階別)を従属変数とした重回帰分析の結果から,実践率の低かった,禁煙する意思を評価する(Assist)こと,禁煙を試みることを支援する(Assist)こと,再喫煙を防止するために支援する(Arrange)ことには,特に禁煙支援への自己効力感,禁煙支援への意思,禁煙支援に対する態度が,有意に正の影響を与えることが確認された。しかし,関連する要因の単純集計の結果をみると,病院看護師は禁煙支援へ積極的な態度をもち,その意思は高かったが,自己効力感は低かった。<br/>結論 喫煙習慣を尋ね,禁煙を勧めることは実践されていても,禁煙へ意思を評価し,関心度に合わせて支援していくことは,十分実践されていないことが把握された。実践率が低かった,禁煙への意思を評価し,関心度に合わせた支援を推進,強化するためには,自己効力感を高めることが必要であり,看護継続教育において自己効力感を高めるトレーニングプログラムの普及が課題である。
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