特定健診・保健指導の標準的な質問票を用いた身体活動評価の妥当性
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概要
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目的 本研究は,「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」の標準的な質問票を用いた身体活動調査と 3 次元加速度計を用いて測定した歩数や身体活動量との比較を行うとともに,全身持久力との関係についても比較検討することを目的とした。<br/>方法 被験者は,20から69歳までの成人男女483人であった。「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」の標準的な質問票より,運動習慣,身体活動,歩行速度に関する 3 つの質問を用いた。質問は「はい」または「いいえ」で回答する形式であった。3 つの質問に「はい」と回答した個数をもとに 4 つの活動レベルに分類した。歩数および身体活動量の測定には,3 次元加速度計が用いられ,1 日あたりの平均歩数,3 メッツ未満,3 メッツ以上,4 メッツ以上の活動強度の身体活動量(メッツ・時)が測定された。さらに,運動負荷試験により最高酸素摂取量が測定され,全身持久力の指標とした。<br/>結果 運動習慣,身体活動,歩行速度のいずれの質問においても,「はい」と答えた者は「いいえ」と答えた者より 1 日あたりの歩数,3 メッツ以上および 4 メッツ以上の身体活動量ならびに全身持久力が有意に高いことが示された。「健康づくりのための運動基準2006」で示された身体活動量の基準において各質問による感度は62~73%,特異度は45~71%であった。また,活動レベル 2 をカットオフ値とした際に感度と特異度の和が最高となり,感度73%,特異度68%であった。全身持久力の基準における感度や特異度は,身体活動量の基準によるものよりもやや低かった。<br/>結論 特定健診・保健指導の標準的な質問票を用いた身体活動調査によって,精度としてはそれほど高くないものの,簡易的な質問に回答するだけで日常の身体活動状況をある程度推定することが可能であることが示唆された。
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